金ロー「新解釈・三國志」を見ました
今週の金曜ロードシネマクラブ「新解釈・三國志」を見たので感想を書いていこうと思います。
※ぶっちゃけdis記事なので本作がお好きな方に不快な思いをさせる可能性がありますので、閲覧はご遠慮いただければと思います。ごめんなさい。※
金ローでいいか
そーいえば今って金曜ロードショーって言わないんですよね。
そんで金曜ロードって言ってたかと思ったら金曜ロードシネマクラブ?ってなっててなんだかもうわかんなくなりました。
金曜ローって言えば伝わるから浸透する名前になるまでスルーしとこう…。
前提
自分の好きなジャンルというのがアニメ、ファンタジー、コメディ、時代劇なので、今週の「新解釈・三國志」は新型コロナが無かったら劇場で見てみようと思ってたくらいなのでめちゃくちゃ楽しみにしてたわけです。
三國志は横山三国志と小説版の三国志を読んだことがあるので一応サラっとはわかるつもり…。
読んだのは演義だか正史だか忘れちゃった。ずいぶん前に読んだもので。
あとはなんだろう…コーエーの三国無双とか三國志もやったことはあるので一応なんとなく有名どころな武将は知ってるつもりです。詳しい人からしてみたらどどどどどどどにわかでしょうけど。
また、本作を監督した福田氏の他の作品については「聖☆おにいさん」を少しと「斉木楠雄のΨ難」を見て絶望した経験あり。
一応、これらについては見なかったことにして本作を楽しもうという気持ちで見ました。
一応ね。うん、アンチ的な視点で何が何でも叩いてやろうって気で見たわけじゃないってことだけ明確にしとかないとね。
全体的な感想
まず最初に思ったのが笑いどころがわからん…でした。
ここだよ!ここ笑う所ー!!っていうのはわかるんですけどただひたすらにハマらない。
全くわからなかったわけじゃなくて、所々クスっときたりはしたんですが、なんていうか小学生の身内ネタをノンストップで見せられているような感覚。
逆張りしたいわけでも斜に構えるでもなくて、最初は本当に心から楽しもうと思って、役もわからなくならないように字幕もつけて見てたんですね…。
ギャグがしつこい。同じネタ何回も繰り返して満足したら次のシーンに行ってるからストーリー進行なんてどー-----でもよさそうに見えるんだよね。
映画として完成させるのではなく、こんなんだったらおもしろいよねって酒の席で喋る程度のそんな話な感じ。
桃園の誓いから赤壁を映画1本でやるには絶対詰め込みすぎてるんだよなあ…
レッドクリフだって赤壁の戦いっていうテーマで映画2本になったよね?
キャストについての感想
どこを見ても豪華でいいなって思います。
(予算はキャストと衣装と背景に使っちゃったんだろーな)
ただ、どこもかしこも豪華すぎて誰に着目したらいいの?っていう感じ。
シナリオがうまかったら豪華キャストゴロゴロ状態でもそのシーンごとにメインに据えるキャラが立ってくると思うんですね
それが全くなくて誰に目を置いたらいいのか迷子になっちゃう。
どのキャラに共感したらいいのかわかんないまま映画が終わるという。
主人公の劉備が一番ブレブレ。
素の性格はクズで酔うと気が大きくなるって性格なら最後に「タミガダイジー!」とか言っちゃうからちょっとまともになってるじゃん。
本当は民のことを思ってるんだよ!みたいな正義漢にしちゃうと最初のウダウダやってた桃園なんだったの?っていう。
保身しか考えてないクズで最後まで貫いてほしかったですね
あとは橋本環奈の使いどころというか…。
いいんだけど。好きなんだけど。
役がね…。銀魂で神楽やらせたらウケたので味しめたのかな?って思っちゃうわ。
ギャースカギャースカ叫ばせてオラオラさせたよ?おもしろいでしょ?こんなかわいい子にげっすい役させちゃうのすごくない?ねえ?すごいよね?っていう感じがするのね
どーにかこーにかハシカンにセリフの多い役を振りたかったのかなって思っちゃうよね
黄夫人が醜女だったっていう説は採用しなかったあたりも含めてね
脚本についての感想
ストーリー進行はやたら速足なのにギャグシーンがやたらめったら長い。
斬首~(ウェイ)とかうだうだやってるそのパート要る…?
頭っからお尻まで一事が万事そのパート要る…?現象が起こってしまいます
黄金比の話とかやるなら黄巾の乱がなんで起こったのかとかちょっとでも時代背景に触れてほしかったかなあ。
肝心の黄巾の乱だって乱してないじゃん。山田孝之が砦の門で黄金比の話しただけじゃん。
どんな層の人達が、誰をトップにして動いてて、なんで黄巾って呼ばれてるかくらいはやったほうがよかったでしょ…
蒼天既に死すryも言わないし、張角なんてミリすら出ない。
この映画見てる人みんなが三国志を見た事あるわけじゃないんやで…
この辺りでようやく「もしかしてこの映画を見る上で三国志の履修は必須なのか?」という気付きを得ます。
さっきも書いたけどそのパート要る問題、最たるシーンはドスドスアンアン踊るパート。
あれ劉備の前でもやってるのに董卓の前でもやるの。長いよ。長い。くどい。
同じ踊るでも趙雲の踊ってるシーンはBGMがついてたのに貂蝉のシーンではあえてBGMをつけないでやってるから余計にくどい。
最初10秒くらいのビヨンセの物まねくらいで終わればいいのにやたら長い。いらん。
あとね、何も考えないで見てたら貂蝉が董卓と呂布を自力でハメてるように見えるんですけど、貂蝉にそこまでしなきゃいけない理由が語られてない。
せめてイケメン( )の趙雲にお願いされたとかならそれらしいシーンを入れたらいいのに。
貂蝉の中身が広瀬すずだっていう伏線とか一切ないのに突然脱いでくるところ、結局死んじゃうわけだから笑えるはずがない。
正体がバレてから斬られたあとのセリフが多い。長い。
「この容姿でかわいいって言われる時代に生まれ変わりたい」が末期のセリフなんですけど、ここ笑うところでもないよね?
ルッキズム云々じゃなくて、人が死んでるシーンを中途半端にシリアス調にしてるからセリフのおふざけ感のクソ寒さが際立ってる。
もうね、シリアスにしたいのかギャグにしたいのかはっきりしないのね
どう考えてもこんなテンポでやることじゃないと思った
この辺ね、ドスドスアンアン踊ってる時間をちょっとだけでも削ってキャラの背景を掘り下げてくれたらよかったと思うんですよ。
いやもうね、貂蝉なんて最初の30,40分くらいで終わっちゃうんですよ、出番。
それだけでこんなドバドバ感想出てきちゃうんだけど、最後までこの勢いは持たせられないんですわ
なんでかっていうと「なんでここがこうなってこうなるのかわかんない」っていう気力が沸かないんです
徐々にいろんな気力が削がれていく感覚すら覚えます
(新手のスタンド攻撃では…?)
糜夫人と阿斗を救い出す趙雲のシーンもギャグ?にしてるのが不快で不快で…。
あれはどこが笑いどころだったんだろう?趙雲のキャラ?悲観しすぎて井戸に飛び込んだ糜夫人?
糜夫人は足を怪我してて逃げるのの足手まといになるから井戸に身を投げて死んだってちょっと調べりゃわかるエピソードなのに、よりにもよって趙雲がナルシバカだからパニクって自死って…。
長坂の戦いで趙雲が助けたのが阿斗だけっていう結末だけを無理矢理史実通りにしたせいでガッタガタになってるんだよね
董卓のシーンはまだ笑えたけどナレ死並にひどい死に方。
貂蝉が斬られるシーンもなんだけど、全体的に人が死ぬシーンが変にギャグにさせようとしてて気持ち悪い。
セットについての感想
予算はここに使われたんだろーなーその②
ここまで学芸会レベルだったら中抜きした?ってくらいなので、ここはまともでよかったなあって感じ
でもここまで他がクソだとセットが良かったくらいじゃどうにもならないなあっつうところ
残念だったのは赤兎馬かなあ…。
あんなあからさまにコラみたいな馬やめてくれよお
あと赤兎馬出すなら的盧も出してほしかったわ。劉備も馬に乗ってたじゃん。
いや…ゴミみたいにいじられるだけなら出ない方が正解か
最後に
この監督の他の作品だと「勇者ヨシヒコ」とか「銀魂」が人気ですよね。
それぞれ履修済みなので前知識はあるので、そういう層に向けて作ったのだとしても問題なく見れるかな、とは思うのです
でも、ヨシヒコの予告?宣伝?の映像をチラッと見た感じだとなんかやたらグダグダしてたのと、銀魂に関しちゃ実写は確実に地雷だろうと思って見てないんですよね
もしかしたらこれらを見てたら印象は変わったのかな…と思わんでもないですが、3本見て合わねーなと思ったんだからこれ以上時間を無駄にすることもないなと思いました
原作原理主義っていうのは言い過ぎだけど、ここまで原作disがひどいとそういう思想に染まりたくもなりますね
この監督って三国志を読んだことはあるんでしょうか?
作中でピックアップしてる戦いを見るに三國無双をちょっとやっただけっぽい気がするんですが…
そもそも三国志ってギャグにするには三国志っていうのをちゃんと理解しないといけなさそうなものだと思ったんですけど世の中にはいるんですよね。
「原作なんてちっとも知らないけど俺がそいつを実写映画にしてやった方がおもしろいよ」的なことを言えちゃうクルクルパーが。
もうね、ここまでひどいと笑う事もできないんだなってことを学ばせてくれた良い映画でした。
口直しになんか別な映画のDVDでも借りてこようかと思います